こんにちは!
アイデアフラッシャーのにわです。
面白いことが起きました。
突然ですが皆さまの宅配ボックスには、正しくお荷物が届きますか。
「宅配ボックスはないのよねぇ」という方も、「間違うはずなんかないだろ」という方も、
現代を生きる私たちと切っても切れない関係の宅配サービスについて考えるきっかけになった出来事についてご紹介します。
宅配ボックスに、例のモノがないのだが
いつも利用するECサイトから事務用品の宅配をお願いしていて、
到着予定日時に会議の予定があるため、宅配ボックスに置いていただくようお願いしていました。
予定時間帯に配達されたことを知らせるメールも届きました。
いつもならば置いたことを示す画像が添付されているのですが、画像がなく、少しの違和感。
とはいえ、いつもお世話になっている業者さまでしたので、「まああとで見てみよう」と大きくに気に留めることはなく、過ごしていました。
…会議に一区切りついて荷物を取り込もうと探しても、
探しても探しても、見つかりません。
我が家には複数の宅配ボックスがあり、
近所の友人と共有しているところも含めて、複数の箱を確認しました。
一向に見当たりません。
おかしいな…
いつもお世話になっているのに…
間違って届いたことはないのに…
新しいスタッフさんだったのかな…
夫にも尋ねてみましたが、やはり見当たりません。
夫の名誉のために申しますと、私宛に届いたものをお互いに勝手に開封する習慣もありません。
しばらく探して、別の意味での不安もよぎったため、
配送業者さまに問い合わせることにしました。
コールセンターに問い合わせる
その配達業者さまの場合は、チャットではなくコールセンターに電話するシステムです。
お電話ありがとうございます!
◯◯サービスセンター●●が承ります!
さわやかなお声で電話をとってくださいます。
事情をお伝えし、トラッキングナンバーで状況を確認。
電話越しに不穏な空気を感じ取りました。
大庭さま…たいへん申し上げにくいのですが…
おお…お調べいただき、ありがとうございます。
どうかなさいましたか?
あ…はい…なんとも、
このたびはご心配をお掛けしまして申し訳ございません…
あ…あの、大丈夫ですよ、どうなさったのでしょう…
サービス記録の画像を確認いたしまして、
まず一点、お届け通知の中に画像添付できていなかったことをお詫び申し上げます。
そして、画像が間違いでなければ、
ガスのボンベのようなもののたくさんある場所の中に置かせていただいたようになっておりまして……
いやあ、それはご丁寧に、どうかお気になさ…
……!?
ガスボンベっておっしゃいましたッッ!?
はい…グレーの円筒状のつやつやした大きな容器に、
朱赤の文字で△△ガスさまのお名前が書かれておりまして…
…が…ガスですねッ…
はい…念のためお尋ねいたしますが、
こちらは大庭さまの宅配ボックスでは……
ありませんよね……
笑いそうになるのをこらえながら(失礼)
我が家の宅配ボックスではないことを告げると、コールセンターの方はこうおっしゃいました。
そうですよね…前回お届けした際には、
✕✕色のお箱にお届けしておりまして、
こちらが宅配ボックスのようにお見受けいたします……
このたびは誠に申し訳ございません…
いえいえ、おっしゃるとおりですが、もうそんなに謝らないでください…
と、どう気持ちを伝えるか思案しながら言葉をひねります。
面白いことがあるものですよね。
たしかに、屋根も囲いもあって、箱状のものであることにはかわりありませんので、
宅配ボックスとお間違えになったのかもしれませんね(笑)
もう…申し訳ございませんッッ!!
こちらがしのびなくなるほど、
電話の向こうのスタッフさんが縮みあがる姿が目に浮かぶようでした。
さすがにガスボンベの近くに置くと、届いたものしだいでは危険もあるため、
ここは宅配ボックスではないことと、我が家でもないことをお伝えいただくとして、終話。
認識は人それぞれだから
皆さま既にお感じのとおり、
こちらのコールセンターのスタッフさんのご対応は素晴らしく、その方とお話しできたこと自体が私にとって学びの大きな経験でした。
また、コミュニケーションデザイン領域に意識を向けると、
人間の認識って面白いなあ、と感じ入ったものです。
いろいろなことを考えました。
そもそも「宅配ボックス」なる概念も曖昧なものだと思いますし、
我が家の宅配ボックス案内が悪かった可能性もあります。
そして、昨今の物流事情・労働環境の厳しさもあり、
ドライバーさんにそもそも余裕がなかったということもあるでしょう。
場所を探して暑くなり、屋根のあるガススペースに逃げ込み、
「ここが宅配ボックスだ…そうに違いない…」と考えて配達してくださったのだとしたら、
熱中症の危険もあるでしょう。
外部の方も、仕事や生活のパートナー
リモートワーカーかつ地方在住者の私にとっては、
宅配業者さまはきわめて重要なステークホルダーです。
子育てしていたり、体調が悪かったりと、
生活するうえでも欠かせないインフラでもあります。
ひと昔前は「お客さまは神様」という考えの方もいらっしゃいましたが、
業者さまに気持ちよく動いていただけることも、もはや賢く細く長く生きる知恵なのかもしれません。
少しでもスムーズにお仕事していただけるように、
我が家の宅配ボックスまわりの見直しも行います。
取引業者さまとのいい関係、物流と私たちとのいい関係
この件に絡み、お客さまの事例をひとつご紹介しましょう。
「売上が年間計画未達となってしまったので、改善のために伴走し、PRやマーケの交通整理をしてほしい」というCEO・経営陣の方のお声がご依頼の端緒でした。
2年ほどで従業員数が50人以上に増え、拠点も増え、急拡大した企業さまです。
飲食ビジネスや雑貨などの小売店、ECサイトなどいくつもの業態を取り入れて柔軟な経営を行ってこられました。
ちょうどそのエリアで同じような飲食・小売系のお仕事をされる企業さまとお仕事したことがあり、
コストや相場感も掴みやすいだろうと踏んでデータ類に目を通していると、少々気になるところが。
1回あたりに割り戻すと輸送コストがかなり安い取引がある一方で、
週2~3回ペースでバイク便を活用されているのです。
規模感やエリアにもよると思いますが、
気密性・緊急性の高いものでもなく、4店舗ほどでこのペースのバイク便利用というのは、
比較的多い方ではないかと考えました。
理由をお尋ねすると、
だって急いでくれって発破かけられるじゃないですか
とのこと。
たしかに、バイク便で届けていただく場合、
「急いでいるから」というのは十分な理由でしょう。
私自身、秘書時代・事業会社PR担当時代にはとくにバイク便の方に助けられましたし、
自分もバイク乗りの端くれとして、リアルな魅力を感じ取っています。
とはいえ、急ぐにも限度があります。
もうひとつ気になる点について質問しました。
バイク便のお取引業者さまが、いくつか変わっているのです。
数ヶ月おき、ひどいときは1ヶ月で変更されています。
なんか、忙しいって言われて、業者さん変えたんだよね。
不足はなかったのにね。残念だよね。
その他の状況も整理し、現場にもお邪魔して、
このバイク便の方との関係性に大きなヒントがありそうだ、と考えた結果、
あることに取り組みました。
配送業者さまにも都合がある
取り組んだのは「配送業者さまの都合を聞いてみる」こと。
「不足はなかった」「忙しいって言われた」
悪気はないのかもしれませんが、やや依頼者優位の関係、不要な縦関係が生じているように感じられたのです。
現場では既に、配送業者さまとの関係性について、
歪みの片鱗が見え隠れしていました。
時間どおりに持ってきてくださったんですが、
投げるように置いていかれるようになって。
私たち、そんなに急かしたかなって…
お願いの電話をしたら、
「もっと早めに言ってくれたら割り引きますよ」と言われました。
会社からは納期はここ、と指摘されますが、そんなに急でなくても私たち、間に合います。
第一、この扱い(※届いたものを使った作業工程)は店長が不在でもできるように、マニュアル化していますし、検品だってそんなに時間かかりません。なんでこんなに急かされるのか、私も納得がいっていません。
配達のときに店舗前をバイクが塞いでしまって、
お客さまに迷惑をおかけすることがあって、クレームになりました。
バイク便の方も申し訳なさそうに謝って来られたけれど、お忙しいんでしょうね、また同じところに停めてこられるので困ります…
- 現場ではそれほど焦って納品してもらう緊急性を感じていない
- バイク便業者さまにも無理がある様子が見て取れる
- 店舗のお客さまに迷惑がかかったり、道路上でのトラブルになったりするリスクがある
現場で一緒にお仕事をしてみて、スタッフさんともお話ししてわかったのは、このような点でした。
こちらが事情を知らないだけで、バイク便の業者さまには大きな負担をかけていたのかもしれません。
そこで、バイク便の業者さまとのミーティングを設定し、
ざっくばらんにお話しする機会をつくりました。
「バイク便は急ぎのときに使うとはいえ、道路事情もあり限界がある」
「できれば◯時間前までに、時間厳守の場合は◯日前までに申し込んでほしい」
「こちらとしても、交通法規・各種法令は守らなければならず、接遇も高めたいので、困ったことがあれば教えてほしい。こちらのレベルアップにもなるので、もっとストレートに言ってほしい」
バイク便業者さまからは、そんなお声が聞かれました。
至極真っ当なご意見だと受け止めました。
これらを踏まえて、
依頼元の企業さま側でも、配送業者さまとの関係性について見直すことにしました。
何よりも先に、経営陣の意識を変えるところから。
配送業者さまは「お金を払って無理難題を押し付ける相手」ではなく、大切なビジネスパートナーであるということ。
配送業者さまが気持ちよくお仕事できることで最高のパフォーマンスが得られ、結果として自社の利益にもつながること。
言霊ともいいますが、「業者が」「クライアントが」なんて言っていると、
上から目線になってしまいますので、「◯◯便の△△さん」など、会社名や「業者さん/さま」、担当者さまのお名前など、心からパートナーとして敬意を払ってお呼びしようということにもなりました。
形から入る、というのも悪くない方法ですね。
そして、無理なく配送をお願いできるように、調達計画やルーティーンの見直しを行いました。
求める成果ー費用の効率化なのか、地域貢献なのか、持続可能性なのか、従業員エンゲージメントなのか、
あるいはすべてなのか…
ブランドとしてどうあるのか、というところに立ち返って整理しました。
ここでも紆余曲折あり、プロジェクトを組んで従業員さまを巻き込んでいると、面白い意見が飛び出します。
配送業者さまは、どう思っておられるのでしょうね…
おお!!素晴らしい!
少々けしかけた点はありますが、最高のタイミングで最高の意見。
(ちなみにこの発言をされた方は後に、その企業内のPR担当に抜擢されました)
お客さまではなく、配送業者さま自身が何を運び、どうなるのかを見たいのではないか、
とシンプルな疑問をぶつけてくださったのです。
そこで、配送業者さまを招いての交流イベントを行いました。
すると、地域内の配送業者さま同士がタッグを組んで、
バイク便とトラック便とで、分担して最適化してくださることになったのです。
「こんなにおいしい食事を出しているなんて、もっと早く教えてほしかった!」
「このキャラクターの雑貨、子どもに買ってやりたい!」
「フードロスを出さないためにこまめに注文していることを知っていたら、運び方だってもっと提案できたのに、気づかなくて悪かった」
イベントをきっかけに配送業者さまがファンになり、最も良い形を業者さま側から提案してくださいました。
餅は餅屋。
物流のプロではない会社が依頼して無理がたたっていたこれまでに比べ、プロからの提案と連携により、
必要なものはスムーズに届き、
急がないものはゆっくり、まとめて。
誰にとっても無理のない仕事をしていきましょう、とお互い手を取り合えた瞬間でした。
相手のベストを引き出すこと
関係性にフォーカスして、全方位のPRをしましょう、と私がお伝えしている理由には、
そうすることで相手のベストを引き出せるから、ということもおおいにあります。
気持ちよく働いてもらったり、
家庭でも、最大級の愛を受けとったり。
結果は、すぐにはついてこないし、
数字や目に見えるものではない場合もあるでしょう。
私自身はGive and Take的な価値観にはあまり興味がなく、
見返りがどう、というよりも、自発的に、内発的に喜びを感じながら、自然にした仕事で
誰かの喜びにつながるならば、それが最も幸せだと考えています。
ビジネスではそんなにきれいごとも言えない、と考えていたところもありますが、
自然に引き出された最高のパフォーマンスがあるときには、
数字を追いかけてみると、長期的に、全体的に、包括的に、利益が出ています。
素地が整った状態であればこそ、広報戦略やマーケティングも活きてくる面は否めないのです。
今回は、配送業者との面白エピソードからいろいろと思い出し、整えるきっかけをいただきました。
ガスボンベ下に置かざるを得なかったドライバーさんのお気持ちを想像すると、申し訳ない、と反省しています。
きっと近々また直接受け取るときに、わかりやすくご案内できるように、
そのときには、暑いなかお忙しいなか届けてくださる御礼が伝えられるように、
我が家の宅配事情も改めようと思うのでした。
ご覧いただき、ありがとうございます!
話しかけてみたい方は、公式LINEでもお待ちしております。