こんにちは!
アイデアフラッシャーのにわです。
今年の上半期から、災害復興に深く携わっています。
現在書ける範囲でのリポートと、私の立場からできることをお伝えします。
発災わずか3時間後、ショックだったできごと
夕方に起きたあまりにも大きな地震のニュースに、私は帰省先の義実家で接しました。
遠く離れた地のことでも、気になるのは当然のこと。
しかも、もともとのお客さまが被災エリアにいらっしゃいます。
集中してもらわなければならない一方で、被災エリアにいるチームメンバーたちが気がかりです。
被災エリアの方が9割を占めるチームでつくるプロジェクトがあったため、
被災はしているものの連絡はとれるし、元気であることを伝えようと、連絡してきてくださいました。
生きてます。私は無事です。
うちにいますが、できることありますか。
ビックリするくらい頻繁に余震が来ています。
うちは大丈夫です。電気は防災のやつ出しました。
4日に電気入るかどうか不明なので、もし連絡が取れなくなったらスミマセン!
みんな大丈夫かなぁ
お願いだから電池温存してくれ!と伝えつつも、メンバーの無事を確認した私。
納期や自分の仕事を心配したり、自分自身が被災しているのにほかの人を心配したり。
かつて被災の中心地にいたこともある経験を思い出しながら、そんなこともあるかもしれない、いや、もう少し自分のことで頭がいっぱいでも不思議ではないのに、と思いながら。
とはいえ、人は自分自身の生活も身の安全もなしには生きていけません。
それまでも路線がズレてきつつあったひとりのメンバーであり、
私と同じく、被災エリアとは離れたところにいるひとりのメンバーが、離脱することになりました。
災害がなくてもいつかこうなってしまうだろうとは感じていましたが、
発災して3時間後、メンバーからの問い合わせに応える形で、
プロデューサーという立場から、メンバー全員にSlackで投げかけた私の投稿をきっかけに、
そのメンバーの離脱が決定的なものとなってしまいました。
災害直後の話です。
リスクを承知のうえで、的確に、端的に、伝えることを優先した結果、リスクが現実のものとなりました。
PRにかかわるプロジェクトであったため、被災後はよりいっそう機動力が必要になるタイミングでの離脱。
正直なところ、かなり手痛い出来事でした。
離脱することになったメンバーにも、残るメンバーにも、私からもお詫びをしました。
離脱する本人の言動がどうであれ、責任者である以上、メンバーそれぞれへの心の痛みは私の責任でもあります。
対話を試みても、電話にも出られないまま、お返事はないまま、
重要な力を失ったまま、プロジェクトを進めることになりました。
なんだか心に大きな穴が空いてしまいましたが、するべきことをしよう、と
被災経験を思い出しながら、できるかぎりの準備とスムーズな進行をしました。
被災後の具体的なお仕事とは
大雨や地震など、たまたまこれまでのキャリアでの転機と被災が重なってきた私。
被災したら何が必要なのか、自治体や企業は、人々はどうなるのか、
どんなふうにモノや情報、お金が動くのか、
それなりに見て、体験してきました。
守秘義務の関係上書ききれませんが、私たちにできるのは、
被災地にいち早く、お金や正しい情報をもたらし、
そして仕事をつくること。
被災地や企業の復旧・復興に必要なお金を集めるためのサイトをつくり、呼びかけ、
情報発信のルートを整えることに集中し、
自治体の方とスムーズに連携できるように、決裁ルートを緊急モードに。
必要な書類はサッと出せるように、被災に関する証明書関係も公開後すぐにテンプレート化しました。
そのために必要な人を現地採用で集められたのは、この時代のおかげ。
インターネットやスマホがここまで普及していなかったら、災害地にインフラが途絶えていたら、
難しかっただろうと思うのです。
目標にしていた金額のダブルスコアを驚くほどのスピードで達成できました。
人も現地に少しずつ集まって、協力が得られたのは、
自分自身が被災を経験したときのことを思い返すと、奇跡だとしか思えませんでした。
募金もアリだとは思うけれど
そんななかで学んだのは、
自分自身が「募金以外にできることがある」と学んだこと。
フリーランスになり、事業や企業のプロデュースをするようになり、
仕事をつくれる立場になったからこそ、
「働く場をつくる」ことで力を出そうと考えるようになりました。
もちろん、募金はこれからもするかもしれませんが、
それだけではなく、現地に負担もかけすぎず、インフラやお金の流れがスムーズになるように、できることはないかと
立ち止まって考えられるのは、今回の経験からの大きな学びです。
成果を出した半年後
今回のお仕事、お客さまには被災前からかかわっており、PRやブランドプロデュースの立場から伴走していました。
発災はまさに軌道に乗ろうとしていたときのことでした。
年明けからこれをしましょうね、と計画も立てていたのです。
災害によって計画は大幅に変更せざるを得ませんでしたが、
被災から半年後、振り返ってみると結果的にブランドイメージは大きく向上し、収益もあがりました。
「落ち着いたら元の計画をすすめたい」とのお声もいただきました。
私としても、ぜひともしばらくお手伝いしたい、と思う一方で、引き際を考えていました。
復興の前の「復旧」の段階から、そして大事なメンバーを失ったその日から、
「現地採用でメンバーを集める」と、宣言したときから。
私こそが、現地メンバーではない、そのひとりだからです。
いつまでここにいるべきか、と、ずっと考えていました。
ありがたいお声をいただいたのですが、私なりの考えをお伝えし、
メンバーを信じて、プロジェクトから卒業することになりました。
「災害が人や地域を強くした」と、きれいごとにするつもりはありません。
なければないに越したことはないし、苦しむ必要なんてありません。
けれども、避けられなくなった現実に向かっていったメンバーを「プロデュースする」必要はもうそこにはないし、
一人ひとりがその土地に、会社に、プロダクトに愛着を持てたから、もう大丈夫。
必要なときにご相談いただく役割に変更し、私のプロジェクト責任者としての役割を終えました。
-1から0も、0から1も、絶対値は同じ
この記事を書くつもりはありませんでしたが、書き残しておきたくなったのは、中学生の友人との対話から。
にわえもんの仕事って何?
なにもかもが気になり、突き刺さった中学生の私を思い出し、
「何でも屋さん」と伝えることを躊躇してしまいました。
人にも会社にも似合うものや似合わないものがあって、
やりたいこと・叶えたいことがあって。
アイドルでも、かわいい系やカッコイイ系などのジャンルがあるように。
あるいは、アイドルになるか、ならないかの選択があるように。
何かをする最初の最初の部分、形のないところの「どうなりたい」を突き詰めて考えて、
スタートラインに一緒に向かう仕事です。
と、やっと絞り出した答え。
スタートラインってことは、
まだ始まってないのか。
そうだね。マイナスのこともあります。
「マイナス」
自分で発した言葉に、ハッとしました。
ゼロイチとか、1→100という表現がありますが、
私ももちろん、ゼロイチも、どのフェーズにもかかわるのですが、
マイナスからゼロに向かうこと(それと同じくらい、10から100、1,000くらいの場面も)は、比較的多いのかもしれません。
地味だけどいいの?
ま、陰の者にはちょうどいいかも、そのくらいがね(笑)
と伝えると、かわいらしいスタンプが届きました。
なかなか核心を突いてくる人です。
「プロデューサーって、HYBEとかの派手な人かと思ってた」とのこと。
ごめんよ、プロデュースもPRも企画もマーケティングも、たぶんほとんど地味!
けれども、味わい深い仕事だと思っています。
スタートして、表に出るところは華やかに見えるそう。
その見方も鋭くて、お客さまもその部分をついきらびやかに、盛り盛りにしようとされるケースが多いのです。
それは間違ってはいないし、否定はしませんが、
コンセプトメイクに何度も何度もワークショップを重ねてみたり、禅問答をしたり、
クレームや炎上、クライシスに向き合ったりするなかから
「ゼロに戻る」仕事人たちの苦しみも、その姿の美しさも、私は知っています。
おいしい立ち位置だと、私自身は感じています。
-1から0も、0から1も、絶対値は同じ。
水面下でもがく人や組織の尊い姿に立ち会えるのが、私の仕事なのかもしれません。
久しぶりに届いた連絡
ところで、離脱したメンバーさんはどうなったの?
心優しい読者の方は気にしてくださっているかもしれません。
というよりも、私の心の傷がまだ生傷状態なのです。
メンバーが去ることや入れ替わることは、
必ずしも悪いことではなく、必要な道のりであれば、
たどるべきことだと、私は考えています。
「去る者追わず」とは少し意味合いが異なりますが、
組織にも人にも仕事にも、相性があるから。
とはいえあまり彼とは良いお別れの仕方ができなかったので、
気になっていました。
久しぶりに連絡がきました。
その元メンバーさんは元気にしようとしているものの、
同じように発災後のやりとりや私たちチームのことを気にしているとのこと。
思い出すと元気ではなくなるそうです。
私も当時は発災直後とあって、少々ストレートな物言いをしたことを詫びました。
「久しぶりにイジってください」とおっしゃるので、
ブログでイジりますね、とお伝えしてこの記事に至ったという次第です。
おなじチームに再度迎え入れられるかどうかは、残ったメンバー次第です。
とても優秀なクリエイターさんです。
私自身は、きっとその方に合うプロジェクトを立てることがあれば、
また協力を要請したいと思っています。
仕事は、つくれるものだから。
ご覧いただき、ありがとうございます!
話しかけてみたい方は、公式LINEでもお待ちしております。