無理ゲーをこなすという罪

こんにちは!
アイデアフラッシャーのにわです。

今日もどこかで、無理ゲーをこなしている人がいます。

お仕事における無理ゲーって、辛いですよね。
一生懸命こなしている人には大変申し上げにくいのですが、
もはや罪だと思っています。

※こなしているあなた自身は悪くないし、あなたを責めるものではありません。

今回は仕事における「無理ゲー」の事例からひとつ、ご紹介しましょう。

目次

2人休んでさらに締め切りが早まった日

タスクが山のように押し寄せた人

ある企業の事務部門のこと。
こんな状況でした。

  • その部署の上司が予定外に入院してしまった
  • もう1人は休みがちな人物だが、3日連続で休んでいた
  • 残りメンバーは3人。責任感の強い部署サブリーダーと、正社員プレイヤー1人、パート1人

その部署のミッションのひとつが、広報でした。

たまたまそのリーダーとも、その企業の上層部の方とも知り合いだったのですが、
リーダー不在の中、元々予定されていた打ち合わせに私も参加することになりました。
その打ち合わせは、集客や地域貢献をかねてなにか企画ができないか?
集客のためのプロモーション活動ができないか?というご相談でした。
地域密着型、かつ広報活動の難しい業種で、社内では難渋していたそう。

打ち合わせ当日、サブリーダーしかZoomにいらっしゃいません。
打ち合わせが始まり、開口一番サブリーダーはおっしゃいました。

間に合わないんです。
明後日までに、なんかできますか?

「明後日までに」という無理ゲー

明後日までになにをするのか、
きまっていればまだ良いのですが、
私の仕事の95%以上は、「なにをするか」がきまっていません。

このケースもそうでした。

なにをするかも曖昧で、なにが目的かも定義できていないまま、
「明後日までにできますか?」
とおっしゃったのです。

サブリーダーとお会いするのは2回目でしたが、
前回お目にかかったときとは別人のようでした。

私の立場からすれば既に「無理ゲー」ですが、
それはあくまでこちらの都合。
サブリーダーのお話を聴いてみようではありませんか。

あなたは、無理ゲーに気づけているか

働きすぎて疲れた人

ここではじめて、リーダーは入院して不在であること、
もうひとりも、所属こそしているものの
現状、実質的な戦力としては期待できないこと、
本部長クラスから「明後日までに」の宿題を課されていること
を聞かされました。

なるほど、これは大変。

「大変だ」の意味さえもちがう

「大変だ」の意味も、
サブリーダーと私とでは異なります。

サブリーダーからしてみれば
「なんとかして間に合わせなければ!間に合うかな?大変だ!」

私の「大変だ」はこうでした。

そもそもなんで明後日なんだろう?

いったいなんで、そんなに焦っているんだろう?

なんのために、するんだろう?

こりゃ、初期設定からなかなか大変な感じがするなあ。

もしかしたら「明後日までに」も崩せるかもしれないし、
「する」もなくなるかもしれないのです。

そもそも、必要がないなら。
焦る必要も、目的のわからないことをする必要もないなら、
崩せるかもしれないのです。

「無理ゲーです」白旗をあげるという重要なミッション

交渉する人

細かい話は割愛しますが、
上層部から求められていること、
そして現状を洗い出して整理しました。

そもそも、集客が必要になった理由や、企画を立ち上げたいという話の目的が
サブリーダーには腹落ちしきれていなかったことも、
お話しする中でみえてきました。

私はリーダーさんほど仕事ができないから、
だからこなせないのではありませんか?
それでは情けない。私のせいです。

そんなふうにもおっしゃいましたが、
客観的にみて、2名欠員があって、さらに通常時(通常時にも適正量ではない可能性もありますが)よりもチームの仕事量が1.5倍というならば、
客観的にオーバーワークですよ、ともお伝えしました。

忙しさ、オーバーワークとはおそろしいものです。
こうして、有能な未来ある人物のやる気や自信をみるみるうちに奪っていくのですから―

そこで、リーダー不在のいまを守るサブリーダーに、
たった一つだけ、お願いしました。

「白旗をあげてください」


事実として、現状オーバーワークであること、
それもあって、冷静に判断する余裕もなく、無理ゲーを強いられている状態にあること、
このままでは自分はおろか、部下も疲弊しきってしまうこと、
目的から考えて、期限や内容などをアレンジできるならば、どこまでは譲れるか一緒に考えてほしいこと。

それらを本部長に交渉してもらうことにしました。
言いにくい、とのことでしたので、
交渉の場に同席させていただきました。

本部長はおっしゃいました。

〇〇さん(リーダー)はいつもしてくれてたんだけど、無理かな?


あちゃー、と思いましたが、これも想定の範囲内。
無理ゲー文化は連綿と続いていますので、
歴代の先輩方がこなしてしまっている以上、期待値が青天井になっています。

そのチームでは離職が多く、
若手が育たず、リーダーは10年以上、同じようなポストに座っているような状態でした。

このままでは、サブリーダーの心も身体も壊れてしまうし、
組織がもちませんよ、と本部長にお伝えしました。

それでも私に「広告でなんとかならんか?」とおっしゃいましたが、
「そういう問題ではありません」とお伝えし、
(私の顔が怖かったのだと思います)

本部長や経営陣で再考し、要求のレベルや内容を変更してくださることになりました。

その結果、退院したリーダーが帰ってくる頃には、
サブリーダーも元気を取り戻し、組織も元気に。

「僕はもう手を放しても、大丈夫かな」
とリーダー。

当然、当初の「明後日までに」とはなりませんでしたが、
余裕ができたサブリーダーと部下の皆さんにならできるという企画をご提案しました。

前に出るタイプではなかった部下Aさんが実はPR向きの人材では?と抜擢し、
半年かけてプレスリリースの書き方や広告のこと、コミュニティの作り方をお伝えしました。
Aさん中心で、あとはPRを回していただくことに。

その後Aさんは業界誌経由で新たなコミュニティ立ち上げを宣伝し、
一緒に書いたプレスリリースからの取材も獲得。
集客にもつながり、マンパワーも最小でできる取り組みを定期的に、小さく始めました。
これまでとは異なる集客ルートを構築することに成功されたのです。

きっと、あのまま無理ゲーを貫いていたら、できなかったこと。
無理ゲーをこなすという「状況」「慣習」は罪だと思います。

なぜ無理ゲーをこなす状況は罪なのか

たくさんのサイコロ

ところで、「無理ゲー文化」のある職場は、私の感覚ではかなり多く存在すると思います。

私自身、何度も無理ゲー系職場に身をおきましたし、
仕事柄、上で挙げたような事例に出くわすこともたくさんあります。

たくさんあるのならば、それって本当に悪いの?
という声も聞こえてきそうです。
しかし、この状況は良いことであるとは私には思えないのです。

そう考える理由は、一言でいえば「未来を奪うから」です。

  • 無理ゲーはずっと終わらないから
  • 組織の力を奪うから
  • 組織が孤立するから

未来が奪われてしまう、と私は考えています。

無理ゲーはずっと終わらない

改めて、「無理ゲー」とはなんでしょうか。

デフォルトの設定上、攻略することが極端に難しいゲームを意味する語。そこから、現実における乗り越え難い困難をゲームになぞらえて無理ゲーと呼ぶこともある。

出典:weblio辞書 https://www.weblio.jp/content/%E7%84%A1%E7%90%86%E3%82%B2%E3%83%BC

元々極端に難しい状況、ということなのですね。

極端に難しい状況、難しい仕事でも、必要があれば人は動くことができます。
必要があれば、とは、
「(適切な)目的があり、わかっている」とか、「有意義だと感じられる」とか、
意味のあることだと思えると言い換えられるかもしれません。

無理ゲーが職場で起きてしまう原因のひとつに、
お金と人間関係と自分の尊厳とが絡みついていることがあります。

これをしなければ、立場を失うかもしれない。次の仕事がもらえないかもしれない。
〇〇さんはできていたのに、自分にできないとなれば、嫌われるかもしれない。
そう思うのは不思議なことではありません。

上のケースでも、本部長が言っていました。
「〇〇さん(リーダー)はいつもしてくれてたんだけど、無理かな?」
立場上偉い人からそう言われれば、断りづらいもの。
そうしてどんどんキャパシティをこえて頑張ってしまうのです。

お気づきだと思いますが、ここでしっかり
「目的」と「手段」がてれこになっています。

「会社のため」という言葉がありますが、
会社のためとは、本部長の意を叶えることでしょうか?
それとも、本部長に気に入られるため?

会社が成長すること、続いていくこと、社会に利益をもたらすこと、
なんていう本来の目的は遠くにいってしまいました。

けれども、一旦忘れ去られた本来の目的は、簡単には取り戻せません。
そして代々無理ゲーが引き継がれ、終わることは容易ではなくなります。

組織の力を奪う

そうして無理ゲー文化がすっかり根付いていくと、
組織は簡単に変われなくなっています。

たまに、勇気ある人が入社してきて新しい風を吹き込んでくれるかもしれませんが、
その人の出端も早々に挫かれます。

文化とは、そのくらいおそろしいMPをもっています。

「無理ゲー」というくらいですから、このさいゲームで置き換えて考えてみましょう。

組織にもHPとMPがあります。
HPは組織の体力。MPには、文化や風土、そしてそこにいる人が醸し出す士気のようなものが含まれます。

無理ゲー文化がはびこると、MPのほとんどを無理ゲー文化が支配していきます。
文化とは魔法のようなところがあって、従わなければそこにいられないかのような気にさせてしまい、
どんどん人の思考をとめてしまうから。
思考をとめて体力の限界を超えても働き続けてしまうこともあって、文字どおり戦闘不能に陥る人も出てきます。
過労やうつで休む人も出てきます。

ちなみに、上のケースの場合、リーダーは無茶な勤務のあと、
明らかに危ないところに脚立をおいて転落事故を起こし、けがをして休んでいました。
私の知るそのリーダーは、危ないところに脚立をおくような人物ではありませんでした。
冷静で、若い頃の私に何度もアドバイスをくださったような、聡明な方。
失礼な言い方ですが、そんな単純なケアレスミスを犯すような人物だとは思えなかったのです。

「ここに置いたら危ない」という簡単な判断すらできないくらい、
追い詰められていたのかもしれません。
しかし、そのリーダー自身の過失、あるいは運が悪かっただけ、という形で、職場全員が捉えていました。
過労で脳や心臓の疾患を抱えるとか、倒れて運ばれるとか、うつで苦しむとかでなければ、
過労や無理ゲーだと判断されなかったのも、残念なことです。

思考がなくなると、魔力で突き動かされる存在になってしまいます。
理性が働かなくなり、正しいかどうかも主張できなくなり、
何らかのきっかけで、不正が起きたり、数字がとれなくなったりして、組織のHPも削り取られていきます。

しかし、どんどん削り取られたHP、そして思考力・判断力をほとんど失った状態の組織では、
無理ゲー文化を駆逐することはもはや、独力ではほぼ不可能です。

組織が孤立する

とはいえ、組織のメンバーたちにもそれぞれの生活があり、人生をもっています。
加えて、各々別の視点で、別の時間軸で組織を捉えていますから、
「おかしいな」「しんどいな」と感じることはあるかもしれません。

そう感じた人は、組織を去っていきます。

そして、また誰かを招き入れて、また病んで、去っていく―

ずっとそこに残っている人はすっかり染まっていますので、
もちろん文化を変えることは難しいのです。
そして、中にいるぶんには組織自体が世の中から浮いているとか、違和感があるということに気づけなくなります。

そのまま年月が経ち、どんどん社会から孤立していってしまいます。
個人ではなく、組織が、です。

取引先がなぜか減ってしまったり、
地味に売上がダウンしていたり…

戦力となるプレイヤーも少ないから、組織の力はますます下がっていく一方。
将来に向けた投資どころか、カツカツの現状打破が必要なほどになってしまいます。

ここでSOSをいただくこともあります。
そのSOSは「売上を増やしたいので宣伝したい」という形でされることが多いのですが、組織文化やコミュニケーションスタイルにテコ入れすることで売上が改善する事例もわりとたくさんあります。

こうして、無理ゲー文化のしみついた場所では、どんどん未来が奪われていくのです。

無理ゲーを終わらせる人とは

会話する人

それを打開できるのは、無理です、ときっぱり白旗をあげる勇気。
そして、その話を「聞き入れる」人・時間・環境です。

人それぞれにキャパシティも能力も異なるので、
どの範囲が無理なのか、を定義することは難しいかもしれません。
ついでに申しますと、「サボってOK」というのもちがいます。

トップであれば、一旦要求してみるのも大事。
最初から「まったく無理のないオーダー」が、成長を妨げることもあります。

そして、その下で働く人も、難しいことを隠さず、ありのままを伝えることは、
とても大切です。

重要なのは、トップの側、リーダーの側が
一旦聴いてあげること。
ジャッジするのは、聴いてからでじゅうぶん。

そのコミュニケーションが、未来を変えます。
まずは包み隠さず、状況を伝えてみませんか?

伝え方がわからない、今更どうしたら…という方は、
ぜひご相談くださいね!

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