「そろそろ会いに行きたい」
そう思えるオーナーさんのいるお店、思い浮かびますか。
次のお休みの日のカレンダーに予定を登録して会いに行こう!とワクワクがあふれ出す、元気の出るオーナーさんのいるお店についてお伝えします。
カレンダーに「ひろし」と登録して
夫との共有カレンダー。
ある休日のお昼の予定に書かれた「ひろし」の文字―
登録者は夫。
私に登録した記憶はなく、それ以外に登録する人物といったら夫しかいないのです。
―「ひろし」
家族や友達にひろしさんはいません。
結婚して数年が経ち、ついに私も飽きられるときがきてしまったのかと悲嘆に暮れ…
るはずもありません。
ひろしさん。
それが今回お邪魔するお店の店主のお名前。
せめて「さん」をつけるとか、お店の名前にするとか、すればいいのに…
そう。
このひろしさんのお店、カレンダーに登録して、ガッツリと予定をキープして訪れたい場所なのです。
ですので、記事をこのままお読みになる方はお手元にカレンダー登録ができる状況にしてから進まれるのを、強くおすすめいたします。
かならず会いに行きたくなる、私たちにとってそんなお店なのです。
予定をおさえる理由
ひろしさんのお店、「ひろし食堂」さん。
YouTuberさんから取り上げられたり、口コミがひろがったりして超人気店です。
土日祝に訪れようものなら、数時間待ちになることも。
私たちは(とくに私は)行列に並んで食事をすることはまずありません。
わかりやすい「イラチ」。
待つのは面倒だな、と感じるタイプです。
平日に行けばよかったのかもしれませんが、なかなか予定が合わず、しびれを切らした夫がカレンダー登録していたのです。
予定を組んだとなれば、行きましょう。待ちましょう。
それも嫌々待つという感覚ではありません。
「さあ、じっくり腰を据えて待つぞ」と、本を出したり、PCを開いてお仕事したりなんかして。
「きょうは何を注文しようかなあ」というやりとりを、だいたい5回はくりかえして。
空腹は最高のスパイス、とも言われますが、
そんな時間のなかで、徐々に自分の感覚が素直になっていくのを感じます。
待つのって、実は嬉しい―
そんな気持ちにはじめてさせてくれたのが、このお店です。
今回お世話になったお店 ひろし食堂さん
今回お世話になったお店をご紹介します。
ひろし食堂さん
鉄板でお好み焼きやホルモンライスなど、びっくりおいしいメニューを提供されています。
イベント等でお店にいらっしゃらないこともあるため、かならずインスタで営業情報をご確認のうえ、お店を訪れてくださいね。
私のおすすめはお名前を冠した「ひろし焼き」。
キャベツの甘みとふわふわ、カリカリ、全部感じられて鉄板好きにはたまらないお品です。
「まだいけるんじゃないか」と謎の挑戦をされるひろしさんの手により、具材は多め・大きめが特長。
嬉しそうに切る背中を横に
順番がきたよ、と呼び出してくださり、満を持してお店に入ります。
お待たせしてから、すみません!
いつもホンマに~
いやいや、こんなに遅くまで働かせてしまって、ごめんなさい…
※順番がきて入店した時点で、営業時間を過ぎてしまっていました
地元の方とはちがって、そんなに足繁く通っているわけでもないのに、顔をおぼえていてくださることに驚きを隠せないまま、席につきます。
おいしいわあ…
隣の席の方の声が漏れます。
ああ、そうですよねえ、おいしそう…
ねー!これおいしいよねえ!
いつもお腹いっぱいになるんじゃけど、後悔せんわあ…
そうですよねえ、ああ、なににしようか…
売り切れたメニューがこれ、と知らされつつ、注文します。
牡蠣のオンシーズンならではの「こぼれ牡蠣ひろし」と「ひろし焼き」を注文。
ひろし焼きとは、おそばが敷かれたお好み焼きで、エリアによってモダン焼きとか、広島焼きなどと称されます。
ひろし食堂さんの立地的にやや関西寄りなので、イメージ的には「モダン焼き」が近いでしょう。
こぼれ牡蠣ひろしとは、カキオコにさらに牡蠣のトッピングまでされて、こぼれ落ちそうなほどの牡蠣がぷりぷりとやってきます。
食べていた夫に「もう今シーズンの牡蠣は食べきったかも…」と言わしめるほどの、こぼれ感です。
つくってくださる直前に粉が混ぜられ、キャベツが切られていく―
その動きを、絶妙な距離感で眺められるお席から、見学します。
トントントン…と、キャベツに包丁を入れるその手が、その背中が、
なんだか嬉しそう。
無駄がないのに、キャベツや鉄板と楽しく遊ぶようなひろしさんの動き。
もうじゅうぶんすぎるくらい働いた日の、昼下がりの料理人の姿とは思えません。
きっと疲れているだろうに、休みたいだろうに、
アツアツの夫婦漫才よろしく、鉄板との会話を繰り広げていらっしゃるのです。
次はどんなふうに焼きましょかー
小麦粉なんで、レアは勘弁してくれますか~
ウェルダンね、ウェルダン
いやぁそこは蒸してもらって~
そろそろ蓋かな?
いってらっしゃい~
あくまで私の妄想に過ぎませんが、きっと鉄板とこんな会話をしているのではないかと思うくらい、
ひろしさんは楽しそうです。
鉄板とのアツアツ夫婦漫才(仮)がおわり、私たちのところにひろし焼きが運ばれてきました。
ああ、バカップル幸せのおすそわけありがとうございます…違う違う、いただきます…
元気だなこの人…
待って!まだ帰らないで!
夢中で頬張ったひろし焼きはなかなか冷めなくて、
おなかがパツンパツンになるのではないかという量をふたりでいただいて、ごちそうさま。
お昼の営業を少しでも早く終えられるようにと、お会計に立とうとすると、ひろしさんに遮られました。
待って!
まだ帰らないでください!
!!!???
一瞬理解ができず、言われるがままに待っていると、
すぐにひろしさんが満面の笑みで持ってきてくださいました。
恵方巻、日は過ぎちゃったけど、
まだ食べたいってお客さんに巻くことになっているから、
食べてほしくて!
食べてほしくて。
こんなにストレートな言葉がほかにあるでしょうか。
食べてほしい。
無礼を承知であえてたとえるならば、パティシエごっことか、レストランごっこをして遊ぶキッズたちと同じくらいのピュアな言葉。
もちろん、ひろしさんの巻く恵方巻、おいしいにきまっていますから、私たちの返事はYESです。
驚いたこともあり、気の利いたセリフが思い浮かばないまま、
ありがとうございます、ありがとうございますとひたすらお伝えして、お会計を済ませます。
人は望外の幸せを手に入れてしまったら、どうなるのだろうか―
そんなことをぼんやり考えた研究者時代の私に言ってやりたいものです。
望外の幸せを手に入れてしまったら、人はそのまま、そのぶんを掛け算して幸せになるのかもしれません。
仕事人としての器に、欠かせないもの
ところで、ひろしさんの周りにはいつも、応援する仲間の皆さんがいます。
話しかけたくて、きっと用事があって、お仕事が落ち着くまでずっと待っていらっしゃる方。
たぶんアルバイトのスタッフさんではないのに、お客さんの交通整理をはじめる方。
皆さん、お世辞抜きでひろしさんが好きで、集まっているように思えます。
ひろしさんはひろしさんで、
お客さんのことが大好きで、食べるお客さんのことが大好きなようです。
キャベツがおいしいって言われるし、
せっかくならいっぱい食べてもらおうと思って、
キャベツもうちょっと盛れるかな?どこまでいけるかな?って
意味不明な挑戦をしよるんですわー(笑)
効率とか、生産性とか、ある一定の尺度で捉えたら無駄もあるのかもしれませんが、
かかわる人の笑顔がひろしさんの馬力になっているのだとすれば、ある意味生産性が爆上がりするものです。
ひろしさんにとって、最高のスタイルなのかもしれません。
喜ばれることを、まっすぐにすること。
そのことと、ご自身の喜びが直結していること。
「器のデカい人になりたい」と思うならば、方法論よりも大事なのはきっとそんなシンプルなことなのでしょう。
経営者としても、大切なことを学びました。
帰宅して夕食にいただいた恵方巻は、
ひろしさんの器のデカさに比例するくらいに、デカいデカい具材が詰まった、最高の恵方巻でした。
これでいい1年になること、まちがいなし。
ひろしさん、ごちそうさまでした!
ご覧いただき、ありがとうございます!
話しかけてみたい方は、公式LINEでもお待ちしております。