
仕事仲間が送信ミスで落ち込んでいたことや、the rendez-vous pointでの話題から思い出したこと。
20代の頃に勤めたある職場には、いわゆる「ツヨツヨキャラ」の先輩がいました。大きなプロジェクトでリーダーを務めるため、柔和なタイプの上司とツヨツヨさんが均衡を保っているようなチームでした。
ツヨツヨ先輩はまあまあご機嫌も浮き沈みがはっきりしているタイプなので、「あー今日は話しかけないでおこう」と、朝一番や帰室時の様子で判断できて、私はそんなに困りませんでした。
ただひとつ思うのは、「お友達にはならないだろうなー」「サシで何を話すか困るから1 on 1になったらどうしようかなー」ということくらい。
わりとタフな働き方をしていたので、いつものように終電を逃すだろうと車で出勤したのをいいことに、緊急の通訳対応のためにたっぷりの残務を片付けていると、ほかの人が帰ってしまい、ツヨツヨ先輩とふたりで部屋に残っていました。
その日は先輩の気が立っていて、アルティメットツヨツヨ状態。
とてつもなくご機嫌が悪いのです。
甘党なのを利用して、モコモコに泡立つカフェラテをお差し入れ。
「アァァァァァァァァ!!腹減った!メシ食いに行かんッッッ!!!???」
あ、ご、は…ゴハン…
「行くんか行かんのかどっちじゃ!!」
ッッッ。。。ッッ…ゴハン…タベニイキマス…カ…ッッッ
圧倒されてYESのお返事をしたのですが、先輩の様子から、あと1時間くらいはゆうにかかりそうです。
淡々と仕事を済ませ、明日に必要なぶんを片付けたら、先輩のを手伝うか、と思ったら、
「オワァァァァァ!!!」
大きめの背伸びをしてグイッと立ち上がり、先輩と私はほぼ同時にPCを閉じました。
職場の近くでこの時間に開いているのはここですね、と候補をあげながら、お店へ向かいます。
お店に入り、イライラした先輩のメニュー選びの隙間に、場合分けで注文パターンを脳内構成する私。
「ビールでッッッ!あ、飲むかッッ?」
スミマセンクルマナンd…
「おお、そうか…」
お店の方に(麺類ならあまり喋らなくてもごまかせるだろう)と渾身のうどんオーダーを繰り出す私。
「…なんか、いつもごめんな。イラついてごめんな。」
その一言を投げてきた先輩は、それまでで一番優しく、穏やかな表情でした。
ほんとうは早く帰ってお子さんに会いたいんだろうな…とおうちのことや仕事の愚痴を聞いていたら、うどんがきて涙ぐんだのを帳消しにしてくれました。
そんな先輩はいつも「送信先はダブルチェック!指差しチェック!」が口癖。
けれども、ほんとうに確認しなくてはならなかったのは、送信先だけでなく、内容のはずでした。
伝わる内容を自分で直視して、それでも送るのかどうか―
次の日、相変わらずのツヨツヨっぷりに、昨日のあたたかい思い出は幻に。
送信ミスはみえないところで起きているのでしょう。
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