
想定よりずいぶん時間がかかってしまうことってありますよね。
今回はそんな話をthe rendez-vous pointのセッションとその後よりお届けしたいと思います。
このコラムでは、the rendez-vous pointにちなんで、大庭やLOVEMEメンバー(LOVEME&COMの仲間たち)のランデブーポイント(振り返ってみれば、ここがあったからこそ決断できた、ここがターニングポイントにつながっていた、という時点)にまつわるエピソードをご紹介します。the rendez-vous pointの実際のセッションの一部をご紹介することもあります。
物語に集中するために、このコラム群は基本的に「文字中心」でお送りいたします。
答えは自分のなかにある
キャリアについてご相談いただいたDさん。
「なんか、エージェントさんともお話しするんですが、話せば話すほどテンションが下がっていくのがわかって……『転職うつ』とかあるんですかね」
「転職うつ」で思わず検索してしまったほど悩んでいらっしゃるとか。
10代の頃から働いて、もうすぐ6年目。
頼られることが増えたけれど、自信はちっとも増えていかない――
そんなお話でした。
「同じことで質問されるのが続くと、自分にはその力しかないのかなって悶々とするんです」
彼の本音が透けて見えて、いたたまれなくなりそうでした。
私もまた、同じように「私、これでしか頼られないのかな」とキャリアに悩んだことがあるからです。
Dさんには、あらゆる選択肢があることをお伝えしました。
彼が想定していなかったことも含めて。彼が想定していなかった「役割」も含めて。
職種や進路も、想定外ばかりだったようです。
そして、危機的状況でそこにとどまることも危ないのでなければ、勤続したまま少しご自身の話を聴いてみる時間をとることをおすすめして、セッションを終えました。
「ちょっと……この領域の仕事でこんな感じで、という転職活動ばかりだったので、想定外です。寝かせて考えてみます。大庭さんのおすすめはどれですか。」
とDさん。
答えはご自身のなかにあるはずなので、私はどの選択肢が正しいとか間違っているとかを判断する立場にないし、それはお伝えしないとお話しすると、少し寂しそうに対話が終了しました。
時間かかっちゃいました。でも、決まったんです
真面目なところが人一倍強いDさん。
そのうちご報告いただけるだろうと思っていたら、2ヶ月ほどでご連絡がありました。
「想定よりも時間がかかっちゃいました。でも、決めました。決まったんです。ここに行きます」
彼が出してきたのは、合格通知でした――
ある分野の専門学校に入ることを決断されたようです。
教育訓練給付を受けながら、定められた期間学んで、国家試験にチャレンジされます。
表面的に捉えれば、培ったスキルはこれまでのお仕事に関係することかもしれないし、未経験のことであっても見えやすい特性に限ったことから掘り返していくかもしれません。
けれども、Dさんのストーリーを聴いていたら、もともと生まれ持ったなかにある性質や、たくさん悲しんで、それでも立ち上がってきた経験を活かせる場がほかにもあるだろうし、
もうこれ以上、コンプレックスに苛まれる必要もないだろうと感じ取ったことを、お伝えしていたのです。
キャリアに「迂回路」はあるのか
ここで少し、私や仕事仲間の話をしましょう。
私は、親のすすめに乗っかって大学進学を決め、アウトローなのに法学部に入り(ここ笑うとこですよ)
アウトローな私は、当然のごとくロースクールをクビになり(ここ。笑うとこ。ですよ。)
研究の道にのめり込んだら、大不況に見舞われて就活で四苦八苦し、
それでも仕事が好きになって、いろいろ経験させてもらえるのが嬉しくて、
一方で会社員生活にはなじみにくいことも知って、まだいろいろ経験したくて。
仕事仲間にも、いろいろな人がいます。
周りには理解されないくらい、恵まれた環境だったけれど、やってみたいことを捨てきれずにチャレンジした人。
一般的な感覚で言えば、「もう少し収入アップしたいな―」の時期だったので、転職を考えたけれど、それは違うと思い直して、自分なりに心をこめてお仕事している人。
マミートラックにハマるのが嫌で抵抗してきたけれど、一番やりたいのはマミーだと気づいてポーンと仕事をやめたら、別の形で花開いた人…………
一見すれば「通らなくても良い道」を通った人たちのように思われるかもしれません。
そりゃ、しなくても良い苦労ならしないほうがいいでしょうし、痛い思いは誰しもしたくありません。
重要なのは、その人が「社会的評価の世界」から「自分で決断すること」にシフトできること。
自分で決断できるようになるための、
自分の理想や価値観を知るための旅立ったのだとすれば、それは迂回ではなくて通るべき道ですよね。
私たちは、こちら側で待っている
Dさんのご報告にもどります。
Dさん、よかったですね。ご自身で決断されたんですね。
「ハイ、入試を受けることだけはお伝えしていましたが、これも受かる自信がなくて、『一応受けてみる』って言ったじゃないですか。でも、本当はめちゃくちゃ入りたかったんですよ~!僕だって自信がほしい。これができるって言ってみたいんです。」
いま、できたじゃないですか。
いま、言えましたね。自信がほしい。これが正しいかどうかではなくて、ご本心ですよね。
「これが正しいのかどうか」のジャッジメントを飛び越えて、自分の本音で動いてみること。
若いうちは、若気の至りと言ってもらえることもたくさんあります。
私自身は、「若気の至りです」を免罪符にしてきて、歳を重ねてできなくなって、また苦しみました。
「本当に最後まで、おすすめ教えてくれませんでしたよね(笑)」
Dさんは笑います。
それはしないようにしているんです。と伝えながら、ふたりで笑いました。
もちろん、コントロールしないレベルでのおすすめはすることがありますが、
今回Dさんにそれを伝えてしまうのは、縛ってしまうことだったから。
自分の本音で生きることは、とても勇気のいることかもしれません。
臆病な私たちは、許可を欲してしまうもの。
だから、自分で許可してあげるところからはじめたって、いいじゃないですか。
それでも、あなたは飛び越えて来てくれるって、信じています。
だから強引に迎えに行くなんて、しませんからね。
自分で決めるということは、ひとりぼっちで決めるということではありません。
手をひろげて、待っています。
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