こんにちは!
アイデアフラッシャーのにわです。
今回は毎日使うあのアイテムの切れ味とともに、気づけば味まで蘇った話をお伝えします。
切れ味をごまかす
バタバタと夕食の支度をはじめ、お野菜を洗って切って鍋にほうりこむー
私だけではなく、あなたももしかすると、そんな毎日かもしれません。
お料理をする方も、しない方も、毎食毎食、ほんとうの意味で食事を慎ましやかに用意し、噛みしめるように味わう日ばかりではないのが現実でしょう。
私は比較的のんびりと暮らしているタイプで、時間に追われることもめったにありませんが、それでも料理や食事とは「流れ」でしてしまうものになっていると言わざるを得ません。
そんななか突然ですが、あなたの包丁の切れ味を説明できますか?
そう、毎日使う包丁です。切れ味はいかがですか?
いや、そう言われてもなぁ…
まさに、その感覚。
「良いか悪いかもわからない」
「たしかに切れ味は悪いのかもしれないが、切るという工程を毎日踏んでいるではないか。この包丁は切るという役割を全うしているではないか」
料理のプロでもなく、包丁のプロでもない私。
作る料理も、レシピどおりなんてことは一切なく、「なんか煮てみた」「お野菜が新鮮だからサラダにしてみた」と、毎日の食卓はそんなところ。
切れていれば多少断面がいびつでも、それは私の力量のせいであろうと、考えもしませんでした。
本当のところで、切れ味なんて理解に及ばなかったのでしょう。
研いでいるつもりだった
とは言いつつも、実は私にはある習慣がありました。
週1回くらい行う、包丁研ぎ。
砥石を水に浸けて、しばらくしてからシャカシャカと研ぎます。
チャコールグレーの液体があらわれ、そのまま研ぎ進めると「かえり」という、反り返ったような部分が感じられ、
裏返してまた研いで、両面できたらおわりです。
ものの本や動画で学んで、半紙やティッシュがシャァァッ!!と鮮やかに切れるようになるまで研げるのを見ていましたが、私は一度たりとも、そんなふうに研げたことはありません。
ただし、研いだら少しマシになるので、トマトが切れやすくなる、そんな気になっていました。
「研ぎ方」と書かれているとおりに研いでいるので、これまた「こんなもんなのかなあ」と思っていました。
大真面目に砥石の面直しを毎回していたし、できている気になっていたのです。
プロである義父に研ぎ終わった証拠の画像を送りつけ、「今週も頑張った!」と自慢していましたが、きっと彼は呆れていたことでしょう。
そろそろ新しいのを買ったら?
そう義父は言いながらも、「まあ、基本的に一生使えるからね、包丁ってのは」と言い直します。
その言葉が、私をムキにしてしまい、何度も何度も研げないくせに繰り返していました。
義父から受け継いだ宝物
私がムキになる理由は、その包丁が義父から受け継いだものだからです。
義父は長年活躍した料理人。
いまでも呼ばれればケータリングやオードブルの対応をし、たまに訪問する私には腕をふるってくれ、そうでなくてもおかずが届くこともあります。
彼の専門は、中華。
中華包丁も義実家にあり、すべてきれいに整えられ、大切に扱われています。
そのなかから、ひとり暮らしをする息子(私の夫)に大切な出刃包丁と柳刃包丁を渡してくれたのを、いまは私達夫婦が受け継いで使っています。
柳刃はすっかりペティナイフになりましたが、まだ現役です。
買いに行けば手頃な値段で手に入りますが、包丁だけはどうしても買い替える気になりませんでした。
手仕事の道具には、魂が宿る
なぜ買い替える気にならなかったのかー
そこには理屈というよりも、もはや私の信念やこだわりが介在しているように思われます。
幼い頃書くことを教えてくれた書道の師匠には「人の筆をやすやすと使うものではない。魂が入っているから」と言われてきましたし、
ギターを手にしてからは、人に貸すときになんともいえない、ざわざわとした気持ちをおぼえたものです。
一度手にとって、自らのまわりにしみついたものは、そう簡単には手放せないー
ましてや、人生を賭けた義父の仕事道具でもあるのだから。
そんな気持ちがあったのかもしれません。
研ぎに出せなくなってしまった
そんな私も、地元の刃物屋さんに包丁研ぎを依頼しました。
イベントのときに出会い、お預けしたのですが、店長さんもご高齢になり、いよいよ閉店を決断されたようで、2回目に預けることはできなくなってしまいました。
そこから預け先を探そうと思いながらもコロナ禍に突入し、なかなかきっかけをつかめないまま、自分のたよりない包丁研ぎでだましだまし、使っていたのです。
いま考えると、「切れ味が悪い」ことや、切った断面が歪むことには気づいていました。
けれども、「なんとかなっているし」「研げば復活するかも」など、ああだこうだと言い訳をして、優先順位を下げていました。
徐々に野菜はまっすぐ切れなくなり、火のとおりが悪くなっても、です。
「うちのごはんは適当だから」と。またごまかす日々。
これがいけませんでした。
いよいよ、料理するのもなにもかも、おっくうになるのです。
きっかけは、夏バテ
そんな今年、猛暑のなかを過ごしていました。
夏野菜のころ、近所の皆さんもいろいろと野菜をくださいます。
かぼちゃやお芋。ピーマン。トマト。
切って食べたいのに、動けないし、やる気も出ません。
認めたくありませんでしたが、年齢のせいでしょうか。夏バテしてしまいました。
1ヶ月ほどは食欲も出ず、食べるものを用意することも面倒だから、余計に回復しません。
夏バテ回復レシピなるものを見ていたとき、こんなことに気づきました。
こんなに切らなくちゃならんと、疲れるしなあ…
切るのは疲れる…?
いつもの食材カットです。
毎日のルーティーンのはず。
しかも、得意ではないにしろ、お野菜を手に入れて切る感じや料理中の「無」になれる状況は、むしろ好きなことでもあるはずなのに、切ることが疲れると判断していたのです。
なぜでしょうか?
切れない包丁で切るときに、余計な力を使うからー
このままではダメだ、と、包丁研ぎを依頼することにしました。
Webで申し込める包丁研ぎサービスを知る
最初は、地元の地域名を入れて「包丁研ぎ ◯◯」と検索します。
その中にいくつか、Webサイトから申し込めるサービスがありました。
刃物だしなあ…
送るって、大丈夫かな…
いまどきのことですから、Webから申し込めることは不思議ではないのですが、なにしろ素人が包丁を送るということに不安があります。
ポストに入れて(レターパックなど)送れるものもありましたが、ズボラな私には頑丈に梱包できる自信は皆無。
どうしようかと考えていたら、こんなサービスに出会いました。
ふくべ鍛冶さんの「ポチスパ」。
申し込むと専用の箱と包丁カバーを送ってくださるので、それに入れて、すべて印字された宛名シールを貼って、ポストに投函します。
箱にはフラップがついていて、刃を覆うカバーも入れてくださっているので、刃先を新聞紙でぐるぐる巻きにする手間や、ずれ落ちたり、梱包を突き破ったりする心配はありません。
私にはもう一点心配がありました。
柳刃包丁、改めペティナイフがかなり短く、自分では砥石でもはや刃ではなく指を削るほどになっていたため、研ぎに応じてくださるかという点や、素人が研いでしまったがゆえの曲がりや錆びも気になっていました。
ポチスパさんの場合、それらもすべてプロに判断を委ね、直していただけます。
事前にLINEで相談したところ、「できますよ!」とご快諾。ありがたいことです。
「包丁研ぎ」と検索したものの、求めていたのは「修理」。
細かな修理もすべておまかせできるとわかり、お願いすることにしました。
預けた結果
結果として包丁は早くも数日で帰還しました。
お預けしていた間のレンタルも可能なので、必要な場合はレンタルを申し込むと良いでしょう。
帰ってきた(「返ってきた」かもしれませんが、もはや家族や腕と同じ存在なので、「帰」を用います)ものを見て驚きました。
柄…柄がッッ!!きれいになっとる!!
こんなにまっすぐに…なっとる!!
小さいのに研がれとる!!
嬉しくなって、錦糸卵を何度も何度も切りました。きれいに切れました。
切れ味はもちろんのこと、柄のお手入れまでしてくださっていて、握り心地も良くなっていました。
やはり、プロのお仕事はちがいます。
これ…これだよ…私のしたかった料理はよ…と、ブツブツ呟く怪しい人になっていたことでしょう。
もうひとつ感動したこと
ともすればスルーしそうな顧客体験のひとつではありますが、もう一点素晴らしいと感じたのが「箱を最後まで使う」こと。
依頼時に使用した箱と同じ箱で、包丁が帰還したのです。
もちろん、さまざまな理由で箱を変えなければならないことはあるのでしょうが、資源を大切に扱い、コストも最小限に抑える工夫をされているところに、職人魂を感じました。
情報保護のために載せませんが、その箱や同梱のチラシにはQRコードが付属しており、自らの包丁の行方を追跡できるようになっています。
いまどの段階にあるのか、無事に届いたのか、確認できるのです。
モノがモノであるだけに、安全であることも大きな価値であると感激したものです。
切れ味で暮らしの味わいが変わる
それからというもの、お野菜と向き合うのが楽しくなりました。
もう秋。
根菜もおいしくなる季節です。
硬いものをたくさん切って、元気に食べているおかげか、健康を取り戻しましたし、お料理が楽しく、少しだけ生活を丁寧にしてみようと思い直しています。
おっくうになって、どこか料理を遠ざけていたのかもしれないし、食生活を大切にすることも後回しになっていたかもしれません。
自分だけのために、昼食を用意する日も増えました。
断面が整うと、切れ味が変わると、ゆっくり味わおうと思えます。
たいして料理の腕はかわらないはずですが、「おいしい」と感じられるだけの、心の余裕もできたかもしれません。
さてー
あなたは、最近生活を、味わっていますか?
それからというもの、お野菜と向き合うのが楽しくなりました。
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