縦割りなんて怖くない。マーケ・PR担当が部署の壁をぶっ壊す

こんにちは!アイデアフラッシャーのにわです。
突然ですが、あなたはとなりの部署のメンバーと仲良しですか―

こう問われてビクッとしたあなた。
そう、そこのあなたですよ。あ、ちょっと後ろ向かないで!

今回は隣の部署が怖い!というところから格闘した、あるマーケティング・PR担当者さんのお話をご紹介します。
※いつものとおり会社名等がわからないかたちでの公開であり、現在も担当者さんは奮闘中であることから、所在地や業種も可能な限りオブラートに包んでお届けします

目次

私には力がなくて、どうかお願いします

シャッター

今回の担当者さんとの出会いは、「マーケティング担当さんの伴走(育成)のご依頼」からでした。
ご着任されてまもなく、マンパワーも少ない中、どのように成果を上げていくべきかに悩まれていました。

知り合った当初から、担当者さんはとてもまじめな印象の方。
私がお伝えするより先に、SEOの基本を自ら学ばれていたし、ああでもないこうでもない、と記事を書いてみたり、ツールを試してみたり、社内にある資源を調べてみたりと、動かれていました。

これは、もしかすると私の出番はないかもしれないな、と思い直そうとしたのですが、どうしても気になることがありました。

大庭さん、私、わからなくて。
なにもわからなくて。
できることはやっていきたいと思うのですが、力がなくて。
なんとか、なんとかお願いします…

字面を追いかけると「すがるよう」なイメージを持たれるかもしれませんが、私の率直な印象は、
この方はなにに怯えていらっしゃるのだろうか、というところ。

トップの方との関係性は良さそうで、社長がお席を外してからのセッションでもご表情はかわりません。
担当者さんが直接に感じていらっしゃる問題は別のところにあるのだろう、と仮説を立てました。
(もちろん、社長さんにお話しすべきこともでてくるので、あくまでマーケティングとPRの担当者さんが感じていらっしゃる問題が別にあるのだろう、という観点です)

目標をどこにおくのか

この直感がはたらいた時点で、「関係性ができたら種明かしを早めにしておこう」と決意しました。
おそらく、担当者さんの求める「成果」は、このままだとずっと出ないからです。

十中八九ご自身に厳しいタイプであるため。
そして、構造的な問題を自身と切り離す必要があるから。

何度かお話をしていくなかで、「評価指標になっているもの、KPIはもちろん追いかけましょう。けれども、できていることを毎回認めて、ソフトな面でも喜ぶことを大切にしませんか」とお伝えし、ご表情が和らいだのをいまでも忘れません。

他部署がなにをしたいのか、わかりません

瞳孔の開いた猫

GA4やGoogle Tag Manager、Search Consoleの使い方をおさらいしたり、Webサイトの改修をともに手がけたりしながら、担当者さんはどんどん力をつけていきました。

週1回くらいミーティングをしたり、Slackで情報共有をしたりしながら、今週はこんなことがあった、こんな数値が出た、困ったことがあった―と、ずいぶんいろいろな話をしました。
だんだん担当者さんの自信もついたり、私たちも関係が深まり、悩みを打ち明けてくださったり、喜びや趣味の共有もするようになった頃でした。

担当者さんはいろいろな策を打っているのに成果があがらない週が続き、このままではクオーターの目標が未達になりそうだと焦っていました。
来期に向けて、イベントやキャンペーンの企画を練り直そうかという話をしたところ、頭を抱えられてしまいました。

難しい…
大庭さん、私には、当社には、とても難しいことかもしれません…

久々の、担当者さんの悲しい表情。
―これは、キックオフ当初のあの表情と同じだ…
明確に、そう感じ取りました。

難しいと感じる理由を問うと、「わかりません」。

そんなことはないはず。本当はわかっていると、いまにも口からこぼれだしそうな勢いです。
そのまま沈黙を続けると、こうおっしゃいました。

実は、他部署の人たちが何を考えているのか、
なにをしたいのか、どうしたいのか、わからないんです。
私、なにか悪いことしたんですかね?

悪いことはしていないと思います、ととっさに口をついて出た言葉とともに、私は安堵を吐き出してしまいました。
やっと言ってくださいましたね。

マーケターやPR担当は「単独では成立しない」

どんな部署も、組織の中では協力しながら存在しています。
その意味において、あまねくどの部署も単独で成立することなど、本来ありえないでしょう。

しかし今回はマーケティング・PR担当の特殊性に焦点をあててみます。

マーケティングは、少々暴力的にいえば「営業をスムーズに行えるためにする」という側面をもっています。
PRもまた、相手なしには存在し得ないもの。
プロダクトや社会、社内とつながりを持とうとしない限り、絶対に成立しない性質をおびています。

マーケター、PR人として自虐的にいえば、ある意味、社内外とのつながりに依存しているわけです。
そんななかで

実は、他部署の人たちが何を考えているのか、
なにをしたいのか、どうしたいのか、わからないんです。

この言葉を吐き出すまでに、担当者さんがどんなに悲しかったか、辛かったか、想像できますか?

縦割り文化があり、関係のある業務でも部署間連携がとれず、対話を試みても受けいれられず、完全に孤立していたのです。
私が同じ立場だったら、とうに逃げ出していたかもしれません。
なんて責任感の強い方なのでしょう。

私、なにか悪いことしたんですかね?

そりゃ、そうも思いたくなるはずです。
悲しすぎますよね。

私が単独でかかわっているケースであれば、ズケズケと他部署や社長さんに話しかけるところでしたが、今回は別の方がその役割を担当されていたため、その方におまかせし、私はマーケティングとPRの担当者さんとの取り組みに全集中することにしました。

マーケター・PR担当の役割の再認識

赤ちゃんと大人の握手

孤立に悩むこの担当者さんと、約束を2つしました。

  • 絶対に、無理をしないこと(限界が来る前にSOSを出すこと)
  • あなたの役割のコアは「つなぐ」ことにあることを忘れないこと

無理をしない。
これは、釈迦に説法と思いながらも、ご自身に鞭打ってしまいそうな担当者さんに釘をさすつもりでお願いしました。
きちんと体調に応じて休んだり、締め切りや目標値に無理のある場合は交渉したり、そんな勇気を持てるようになりました。

それから「つなぐ」という役割。

マーケターとPR担当を兼ねている場合は特に、社内でも社外でもハブになるような立ち位置をとることになります。
ましてやマネージャーも兼任されているため、部下を守るために厳しくNOを伝えることも必要です。
お客さまの意見を反映するために、他部署に対してイレギュラーなことや前例のないことを要求する必要もあります。

他部署から求められる人になりなさい

ここで、少し私の経験に触れたいと思います。

私の社会人の師のひとりである病院勤務時代の元上司は、いつも「他部署から求められる人になりなさい」と諭してくださいました。

病院の事務総合職にとって、他部署はほぼ他職種のかたまり。
気の強く仕事のできる専門家たちにお願いごとをするのは、毎回血の気の引く思いでした。
なんとか気に入られたいと行脚してお手伝いしたり、出入りしたりするなかでかわいがってくれる人も増えて、しまいには自部署のお局様に煙たがられる事態も経験しました(おい

けれども、お局様に打ちのめされた私を助けてくれたのは、他でもない他部署のベテラン勢。

この子に意地汚ぇことしたら出禁にしちゃるけぇな!

この御恩は一生忘れません。
あー怖かった。

そしてその頃から、外回りをしても数字がのぼるようになり(病院事務でも実は営業のような仕事もあります)、仕事が楽しいという感覚をもて、患者さんや他部署の人から指名されることも増え、仕事がどんどんうまくいくようになりました。

PRや医療マーケの仕事もこの頃からうまくまわり始めましたが、副業でしていたこともすべて、「他領域とつながる」ことがキーになっていたことに気づきました。

意見交換をしてみたんです

話は戻って、伴走中の担当者さん。

イベントのあとに「他部署と意見交換をしてみた」と、まとめたシートを見せてくださいました。

それを拝見しながら、画面越しに涙をみせないように必死でした(バレていたらごめんなさい)。
担当者さんが壁を感じている部署の方もたくさん参加して、今後の前向きな取り組みにつながりました(実際いくつも改善施策や新企画立ち上げをしました)。
これを催すのに、どれだけ力がいったことでしょう。

約束を守ってくださった―
ますます応援したい気持ちになりました。
絶対にうまくいく、そう確信した瞬間でもありました。

こんなの書いたんです―お客さまへの言葉でつながる

ハートを持つ手

その後、担当者さんはお客さまへ向けて送るお手紙とパンフレットの中に、あるノベルティをつけることになりました(ノベルティの企画も一緒に楽しんで行い、はじめての取り組みにチャレンジされました)。

そこで担当者さんが書いた言葉は、これまででは思いもつかなかったものだと感じられました。
社内と、社外とつながる役割に徹したからこそうまれた、プロダクトへの自信と愛情に満ちています。
その言葉を一部引用しましょう。

お客さまに製品についてより興味をもっていただきたく、ノベルティとして特別にお作りしました。

(中略・製品の特徴と注意点を伝える文言)ご愛用いただけますと幸いです。

本品を通して、◯◯社をより身近に感じていただけますように。

モノが手元になければ、プレーンな言葉に思われるかもしれません。
しかし、特別に誂えられた、ユーモアと心のこもったノベルティや新しくなったパンフレットとともに、このカードが届いたらどうでしょうか。

あたたかい気持ちと、向こうにある笑顔を想像しながら、お互いのことをどこかに感じ取っている―
満面の笑みで手渡してくださる姿に、社内外との明るい関係が目に浮かんで、私も受け取ったとき、胸がいっぱいになりました。

もう、大丈夫。
きっとこれからも、担当者さんの格闘は続きます。
けれども、もうおそらく、孤立しないでしょうし、立ち向かえるだろうと思うものです。

マーケターやPR担当は、時として孤独です。

けれども、孤立するのは間違っていると、私は考えています。

できれば経営者さんに、立ち上がっていただきたいところです。
こんなことあるかも…と思われたら、一度壁打ちのご連絡をください。

マーケターさん、PR担当者さんご自身が悩んでいらっしゃる場合も、こっそりお知らせくださいね。

ご覧いただき、ありがとうございます!

話しかけてみたい方は、公式LINEでもお待ちしております。

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