the rendez-vous point|無理矢理の鎖

納得は選択できる

今回は、the rendez-vous pointのフォローアップでのひとコマと、私自身が言われたことと重なる体験(タイミングも重なりました!)からお届けします。

このコラムでは、the rendez-vous pointにちなんで、大庭やLOVEMEメンバー(LOVEME&COMの仲間たち)のランデブーポイント(振り返ってみれば、ここがあったからこそ決断できた、ここがターニングポイントにつながっていた、という時点)にまつわるエピソードをご紹介します。the rendez-vous pointの実際のセッションの一部をご紹介することもあります。

物語に集中するために、このコラム群は基本的に「文字中心」でお送りいたします。

目次

理解と納得

「アタマではわかっている。でも動けない」
ご相談の端緒はそこでした。

お付き合いしているパートナーの気持ちはもう離れていて、それでも離れたくない。
嫌いになったわけじゃない。けれども、お相手が自分のほうを向いてくれないのは悲しいし、それに対しては怒りさえわいてくる――

もう少し若いとき(制服を着ている頃くらい)であれば、怒りにまかせて喧嘩していたかもしれないこと。
それを抑えて悩んでいるところが、いかにもランデヴー世代(the rendez-vous pointのセッションを受けてくださる世代:20歳~30歳前後)らしい発想ですよね。

もう新しいパートナーの存在すら窺わせるような現況を、痛々しくお話しくださいました。
(大庭個人の気持ちをお伝えしますと、そこまで言わなくてもだいたいわかるよー!というところまでお伝えくださったので、相当なショックを抱えて、覚悟のもとにお話しくださったのだと思っています。どんなセッションでもお話しいただく方の覚悟って、身につまされる思いですよね)
「すみません、男泣き……!」
いやいや、そりゃ泣くぜー!と言ってしまいます。ていうか、メンズが泣いちゃいけないって誰がいつ決めたの!

そこでお話ししたのが、「理解」と「納得」のちがいです。
思考のうえでわかっているというのが理解だとすれば、
腹落ちしている、心の底から、身体ごと含めて「そうなんだ」「これでいい」「これがいい」と思える状態が納得。

この方の場合、アタマではどんな状況か「理解」しているけれど悲しすぎる、「まだ納得できない」!という状態。
そして、それをお相手に伝えられないのがもどかしい、というご相談でした。

「なにか伝えるべきですか、それとも伝えないで、サラッと去ってあげるのがいいんでしょうか」

(いや、なんでこんな人手放すかなあ。パートナーさん、めちゃくちゃ思われてんで。)
いやいや、そうですよね。
ところであなたは彼女にとって「どんな存在」でいたかったの。
彼女と何を交わしたかったの。
そう問いかけました。

交わしたいものがみえない

「あ…………」

彼は一瞬口を開いて止まり、3分間ほど沈黙の時間が流れました。

「すみません。なにも思いつかないんです。なかったんですかね」

謝ることはありません。
交わしたいものがなかった。そんなカップルなんて五万といるはず。

自己弁護のために申しますと、出会った当初になくたって、徐々にふたりで見つけていくことだってできます。
一度山を登りきった気持ちになって、夢を叶えて、また仕切り直して別の山に向かうことだってあります。
けれども、最初から、途中も、最後までも、ずっと「交わしたいものがみえない」のは、少し悲しいことかもしれませんね。
どちらが先にそれに気づいたのかはどうでもよく、とにかくいまは、彼がそう気づいてしまったということ。

たとえば孤独感が強くて、寂しさを埋めたいとか、
苦手なものが一緒でつながったとか、そういうのもありませんか。
と尋ねると、「それはないっすね」――

では、これから一緒に登りたい山や、潜ってしまいたい海はありますか。

「…………」

また3分も4分も考えて、彼はスッキリしたような、目に臨界点のうるおいが満ちたような顔で

「んー。ないっすね(笑)」

そうか。それが答えですよね。

一般的な像が鎖になる

私自身も自分を強制的に納得させるような場面がよくあります。
というか「ここは納得して進むしかない」と決め込んでいる場合も。

すべてのことを制御できるわけではありません。
仕事では妥協しなければならないこともあります。
けれども、家族や恋人、仕事であってもパートナーと呼べるような近しい関係性の仲間とは、どうでしょうか。
そのまま進めば、どこかで無理がたたってしまいます。

プロデューサーだから、プロマネだからこうしなければならない。
娘だから、こうあらねばならない。
妻だから、こうするべきだ。

その「べき」思考や発想は、あくまで「思考の世界」のものであって、自分の腹の中のものではないかもしれません。
一致することもありますが、一致しないことだって不思議ではありません。
一般的に、社会的に要請される役割はあっても、心が壊れるくらいなら採る手段もあるでしょう。

ちょうど、私自身がそんなことを周囲から言われた時期のセッションでした。

余談ですが、the rendez-vous pointを始めた理由のひとつがこういうところ。
私自身が情けない人間で、よくできた人物なんてことは1ミリもなくて、
肩で風を切る先輩でもなくて、ただ少し先の人生軸を進んでいるだけの「人」。
だからこそ、お伝えできることも、共感できる人間としての情けなさもあって、そういう先輩に私が助けられてきたからです。

納得できなければ、手放せる強さを

実は冒頭で触れなかった、ご相談者さまが言われたひとことがあります。

「◯◯くんのことあんまり構っていられない。xxもあるし、△くんともコミュニケーションとらなきゃだめだし、私は忙しい。会えない月があっても良くない?」

パートナーでいることを解消したいのではなく、関係を続けながら、少し連絡の頻度やデートの回数を減らしたい、という彼女からの提案でした。

これは個々に捉え方が異なって、「このくらいさっぱりしているほうがいいなー」という方も、「いや1ヶ月以上会えないなんて遠距離でもないのに無理やて」という方もいらっしゃるでしょう。
そうではなくて、彼女からの申し出に対して、彼が「無理に引き受けよう」としていたのがこのセッションの本質です。

懐の深さを見せたくて、「いいよ」と言いたい気持ち。
一方で、「そんなの寂しすぎる。僕の気持ちは聴いてもらえないの?」という、関係性への寂しさと渇望。

きっとこのまま強がっていれば、なんらかの形で歪みが生まれてしまうでしょう。
本音(寂しい気持ちと、ご自身を尊重してほしいという願い)を伝えるメッセージをプロデュースして、セッションを終え、後日談を伺いました。

「彼女に一笑されて終わりました!気持ち切れました……」

グサァ、と正面から刺されるタイプの負傷でしたね。
ああよく帰ってきたよ、ランデヴーソルジャー……

このままでは辛いと感じた彼は、自分の言葉でお別れを選択したそうです。
セッションのときよりも強さの宿る目に、嘘はありません。

無理に自分を納得させるよりも、納得できないことを手放して、本音で生きる強さを。
そう教えてくれる今回のランデヴーポイントでした。
今回の「未来の自分との待ち合わせ」で、次にもっと素敵な出会いが待っていることが確信できたそうですよ!

Best of luck with your “LOVEME” life!

ご覧いただき、ありがとうございます!

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