the rendez-vous point|ランデヴーポイントとは何なのか

このコラムでは、the rendez-vous pointにちなんで、大庭やLOVEMEメンバー(LOVEME&COMの仲間たち)のランデブーポイント(振り返ってみれば、ここがあったからこそ決断できた、ここがターニングポイントにつながっていた、という時点)にまつわるエピソードをご紹介します。

物語に集中するために、このコラム群は基本的に「文字中心」でお送りいたします。

the rendez-vous pointの企画を表に出してからわりと多いご質問が「なんて読むの?」「どんな意味?」というもの。

ランデヴーポイント」と読み、rendez-vousはもともとフランス語なので、混種語の括りになる言葉です。混種語である時点でランデヴーポイントという言葉じたいに実は若干の無理があるのかもしれません。
日本語でもくっつけられた言葉ってありますよね。「スティックのり」とか「デジタル家電」とか…

今回はランデヴーポイントの意味について、エピソードとともに少しお話ししたいと思います。

目次

ランデヴーポイントといえばドクターヘリ

医療系のドラマがお好きな方であれば、ランデヴーポイントとは、ドラマのなかで耳にした言葉かもしれません。

医療の現場では、ドクターヘリと救急車が合流する地点を「ランデヴーポイント」といいます。
ドクターヘリは患者さんをお空から運ぶ救急輸送手段ですが、必ずしも患者さんが今まさにいるところに着陸できることはほぼありません。そのため、患者さんを一旦救急車がお迎えして、救急車とヘリが待ち合わせをします。その場所がランデヴーポイントです。

余談ですが、日本で初めてのドクターヘリ本格運航が行われたのは、実は私の地元(隣の市)でした。制服を着ていた頃の話ですので、先生方が懇切丁寧に教えてくださったり、見学させていただいたりしたのをおぼえています。
医療現場で働いていたときには、冗談抜きでほんとうにお世話になりました。

現在では病院の敷地内や屋上にヘリポートを設けるケースが増えてきました(三次救急の機関であればヘリポートがほぼ標準装備になってきましたね!)が、どうしてもヘリポートが院内にないとか、災害のために高度ERがある医療機関では受け入れが難しいという場合、受け入れ先の医療機関の近くでまた救急車と待ち合わせをして、医療機関まで搬送することもあります。

救急医療におけるランデヴーポイントは、あらかじめ選定されていることがほとんどです。自治体によってはランデヴーポイントを公表していることもありますので、ご興味のある方は「ランデブーポイント+自治体名」で検索するか、AIアシスタントに尋ねてみてください。

そして、ドクターヘリが着陸しているのを目撃したときは―
どうか、近づかないで、スムーズに搬送できるようにご協力くださいね。

宇宙にもランデヴーポイントがあるらしい

宇宙工学・宇宙科学の領域では、宇宙船が宇宙空間で接近し、速度と軌道を合わせる(!)ことがあるそうです。
その「待ち合わせ場所」や「接近ポイント」をランデヴーポイントと称するようです。

宇宙船がそもそも速度や軌道を合わせられる…というのが恐ろしい叡智の結晶だと思えてならないわけですが、想像するとワクワクする話ですね。

また、軍事領域でもランデヴーポイントという言葉が用いられるようです。

ランデヴーとは

ところで、ランデヴーとはどのような意味でしょうか。

私よりも先輩の皆さまは、映画とかラブソングを思い浮かべていらっしゃるかもしれません。

そもそもの意味としては、「待ち合わせ」や「(会うための)約束」。
英語のappointmentが近いかもしれません。診察の予約もrendez-vousと言うそうです。

そこからデートの意味を持つようになり、時には固定されたパートナーとのデートだけでなく、その場かぎりの関係や浮気・不倫などの表にできないデートもランデヴーと呼ばれることがあるようです。
日本語では死語説がささやかれていますが、海外の仕事仲間と話したら「普通に使う!」「(英語圏の人の場合)rendez-vousをもじって隠語的に使うこともある!」とのことでした。

本来は単なる「人と人とが会うこと」や「会う約束」だったものが、いろいろな意味を持つようになったのですね。

「出会い」「対話」「セッション」への意味づけと文化

ここからは、文化的な背景を踏まえた考察をお伝えします。

そもそも、(とくに日本では?)「良い出会い」と「悪い出会い」を区別する人も一定数いる可能性がありそうです。
「対話/セッションそのもの」に「よしあし」をつけたがる文化があるのではないか、という仮説です。

一方で、フランス~ユーロ圏では、「出会いそのもの」をジャッジするものではなく、「自分がどう思ったか」を語る傾向があるような気もします。

日本語ではわりと聞かれる「黒歴史」という表現。先日もニーズ調査にご協力くださった方とお話ししていると「元カレの話」を黒歴史として語ってくださる場面がありました。許可をいただいた範囲でご紹介しましょう。
正直なところ、お聞きしていてアニメチックで、御本人ももう消化しつつあるからか、ふたりで笑ってしまったのですが、「あの男と出会ったこと自体が黒歴史なんです!」とバッサリ。

そうおっしゃることが彼女のお強みにもなり得ると思うのですが、黒歴史だとしてしまうと、その彼とデートに行ったときに着ていた服も、好きだったアーティストも、帰り道によく通ったルートも、全部黒歴史になってしまいかねません。
それでも彼女は言い切りました。「それも黒歴史なんです!そして、服やデータが捨てられない今も黒歴史の続きです!!」

私自身はあまりそういうところがなくて、かつてのボーイフレンドにいただいたタオルをずっと使っていたし(生地がモケモケになって役目を終えるところまでご一緒しました)、研究者時代に使っていた本は、当時のボーイフレンドからのお下がりで、研究していた思い出のほうが色濃くて(なんかごめん!)もちろん現在でもたまに見返します。
どちらのボーイフレンドとも黒歴史になるようなこっ恥ずかしい思い出をもっていますが、そこに登場していた本を書棚に入れているからといって、黒歴史を引きずっているわけではないし、過度に彼との思い出を美化することもありません。

ニーズ調査に参加してくださったその方にお伝えしました。

私は、あまり「出会いそのもの」によしあしはない、と思うタイプなんです。たしかに彼と出会って、あまり良くない思い出とともにお別れしたかもしれませんが、出会ったことそのものがダメだったとは、どうしても思えないんです。出会ったことを否定してしまうというのは、最終的には根拠のない自己否定だし。

「そうかぁ、私が一番モヤッていたのは、自分にダメをつけたからなんだぁ…見る目ないし、就職も失敗するし、自分の判断軸がどんどん信じられなくなって、ナントカ診断がないと生きていけなくなってしまったんです。MBTIだけじゃ足りなくて、診断だけで◯◯円も課金しちゃったんです。占いとか、診断とか、本当ばかみたい。それも黒歴史って言いたい。自分が嫌い。」

「自分にダメをつけたからモヤッとした」とは言い切れませんが、たまたまあなたが彼に興味を持ったことや、一緒に過ごそうと思ったという選択自体を否定しなくてもいいと思いませんか。その一件だけで「私には見る目がない」とおっしゃらなくてもいいはずですし。自分で決めたこと、流れでそうなったとしても、その結果「どう思ったか」が大事で、出会いや自分自身をまるごと否定することはないと思うんですよね。

「出会いに感謝、ですよね」

それも…無理しなくていいと、私は思います。不謹慎かもしれないし、きれいじゃないかもしれない。でも、「いま」「すぐ」感謝できない出会いって、私にはあります。時間差でしみてくることのほうが、多分多いんです。

「出会いに感謝しなさいって、どこで言われたか忘れたんですが、感謝するもんだと思ってた!(笑)」

そこで大笑いして、まだ話したりない、と次回のランデヴーをすることになりました。

ランデヴーに「いい」も「わるい」もないのかもしれない

上のエピソードは、the rendez-vous pointをはじめてからのものですが、どちらかというとネガティブな出会いも想起されやすいこの言葉をプロジェクト名に選んだのは、「そもそも、出会いによしあしなんてないだろう」という、問いかけでもあります。

酸いも甘いも…とか、「苦労は買ってでも」とか、厳しさを経験することを称賛する声もありますが、つらい思いなんて、しないに越したことはないと個人的には思っています。アクセルを踏むためや周囲と調和して暮らしていくために「底打ち体験」は必要ですが、中途半端につらい思いをして、痛みを散らしながら向き合わずに進むくらいなら、のらりくらり、穏やかに暮らせるほうが幸せにきまっている!と言いたいくらい。

心底つらい、嫌なことを経験したときに、「黒歴史だッ」と蓋をしてしまうのではなく、自分がどう感じたのか、どう思って、ほんとうはどうなったらハッピーだったのか―そこに向き合うには、出会いや対話そのものを否定しないことが大切ではないでしょうか。

それは簡単なことではありません。私自身は、家族や仕事仲間をバッチリ頼って、対話しながら、少しずつ直視している感じです。

だから、the rendez-vous pointでは、偶発的な出会いも体験しながら、すぐには「効果的なもの」を感じられないかもしれないけれど、とにかく人と出会って、対話して、少し未来の自分にその経験を連れて行ってあげられるようなチャンスを大切にしています。

気に食わない出会いやその場では理解できなかったこと、逃げたいけれど逃げ切れなかったこと…が、少し先のタイミングでカチッとハマることも、あるじゃないですか。

そういえば、上の事例の方。
次のお約束のやりとりで、最後にこう書かれていました。

「良い出会い探すのやめます!」

ご覧いただき、ありがとうございます!

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